読む「れもんらいふデザイン塾」vol.2
今回のゲストはPOOL.inc代表の小西利行氏。
登壇の瞬間、一息で会場の空気が変わった。
ロジカルでユーモラスな講義はまさにエンターテイメント。
濃密な言葉の波がジェットコースターのように駆け抜けていく。
言葉のデザイン。
これは〝概念のデザイン〟とも言い換えることができる。
小西氏のある種、魔術的な〝言葉の整理術〟を目の当たりする塾生たちは、手品師の芸に心を鷲掴みされた観客だった。
その奇術に純粋に驚く者、巧みな手捌きを盗もうとじっと見つめる者、仕掛けを探ろうと頭をひねる者。
圧倒的な感動がそこにあるのだが、誰もその手品の種は分からない。
色んな見方があり、そしてその体験はその場にいた者全員にとって非常にエキサイティングだった。
はじめにこの講義で最も私の心に突き刺さった言葉を紹介したい。
───話題はモノが売れる要素、それは機能からデザイン、そしてストーリーへと移り変わっていった変遷について。
小西
最近「ストーリー、ストーリー」という言葉をやたらと耳にしますが。
ただし、「ストーリー」ばかり言っているオジサンに出会ったら大概の場合胡散臭いんですよ。
「これ、何か良いストーリーつけてさ…」とか言われた時に僕は「ストーリーって何ですか?」って聞くようにしていて。
すると相手は言葉に詰まりながら「それはお前……〝物語〟だろ」とか言われてww
ストーリーというのは基本的に長文の物語ではなく、さらに言えば〝物語〟ですらありません。
ここで言う〝ストーリー〟の定義は「強い共感×共有したい感情」です。
鮮やか。
うん、鮮やか。
このシンプルな定義(誰もが理解し、共感できる言葉への置き換え)を知っただけでもこの講義に参加した価値がある。
ここからクリスマスのサンタクロースや、〝自由の国アメリカ〟は移民推進キャンペーン、果てはAKB48へと次々と展開していく。
そして「世界はストーリーで動いています」と締める。
塾生、総痺れ。
さらには、〝良いストーリーの合言葉〟を二つ紹介しているのだが、あまりに貴重なので残念ながらここには書けない(塾に参加するか小西氏の本を買うと学べるよ!)。
フランスのマクロン大統領は著書『革命』の中で、議論の展開を〝言葉の定義〟からはじめている。
例えば、フランス人は〝フランス語を話す者〟、フランスという国に至っては〝国のプロジェクトであり、様々な制約から解放する目的がある〟と実にシンプルに定義した。
・「フランス語を話す者は、フランスの歴史を託された者となり、フランス人となる」
・「フランスは一つのプロジェクトであり人々を解放する共和制である」
著書の中でマクロンは自分の政策に至る道を全て、〝自分の言葉で定義しながら再構築〟していく。
マクロンの姿と小西氏の姿が重なった。
この言葉の定義とヴィジョンの再構築にこそ今回の講義の大きなテーマでもある〝伝える〟→〝伝わる〟の要素が隠されている。
〝ヴィジョンへと向かうイノベーション〟は国の作り方も、商品の作り方も、相手に対する想いの伝え方も全て同じなのだ。
前置きが長くなったが、驚きと発見の連続、講義の一部をご覧あれ。
世界は滞っている。
小西
僕の考え方の基本には「世界は滞っている」という前提があります。
つまり、ブレイクスルーの訪れを待っている───言い換えれば「世界はInnovationを待っている」ということです。
よく耳にする言葉ですが、実はイノベーションというものは大抵の場合明確に理解されていません。
Innovationの定義
「InnovationはIdeaとCommunicationでできている」
おもしろいアイディアを思いついた人がいたとしても、それが広がらなければそれはイノベーションにはならない。
アイディアを作る人も必要だけれど、コミュニケーションをしなければ〝広く多く〟へは伝わりません。
Communicationの定義
「Communicationの中身はART、COPY&CODE」
昔はART©と言わていました。
アートというのはデザインを含むヴィジュアルのことであり、コピーは文章そのもののこと───そしてデジタル世代に入ってCODEが登場しました。
コピーの〝言葉の力を使わなければ世界は動かせない〟という考え方は、〝すべては言葉が起点になる〟という意味でもあります。
この発言に気分を害するデザイナーもいるかもしれませんが、僕が知り得る限り優秀なデザイナーは大概言葉のセンスも抜群です。
〝視覚的にポンッと抜いて持ってくる力(エッセンスを抽出して具現化する力)〟というのは、コピーライターよりもデザイナーの方が強いと思っています。
それ故、コピーライターがデザイナーと仕事をする上で一番辛いのは、デザイナーがなんとなく思い付いた言葉です。
デザイナーの用意したヴィジュアルの中にたまたま載せている言葉。
厄介なことに、あれが実に良い。
デザイナーの感覚で抽出され、具現化された言葉にはコピーライターはなかなか勝てない。
それで苦しんできたコピーライターはたくさんいますww
伝える〟より〝伝わる〟
Communicationの基本原理
「〝伝える〟より〝伝わる〟」
〝伝える〟というのは僕が今みなさんに話している状態ですけど、仮にみなさんが僕の言葉を理解していなかった場合、それは伝わっていないんですね。
〝伝える〟というのは一人称で、〝伝わる〟というのは少なくとも相手がいるということ。
昔のニュースがつまらなかったのは情報を〝伝えていた〟からで、今のニュースが分かり易くなったのは〝伝わる〟ということを考え始めたから。
〝伝える〟→〝伝わる〟こそ、コミュニケーション全般の基本原理です。
そのためには〝相手のため〟ではなく〝相手の立場で〟話すことが前提です。
相手の立場で考え、それから形にするのが僕たちの仕事です。
ここに自殺の名所の立て看板があります。
看板の文字
〝一寸待て ハードディスクは消したのか?〟
「自殺はダメですよ」とか「淋しい想いをする人がいる」とかじゃなく、相手の立場になった時に一番衝撃的なものは何か。
馬鹿らしいのですが、この看板を立てたことで実際に効果があったと言われております。
また、昔の人は「夜は危ないので外に出るな」という言葉に換えて「おばけが出るぞ」という民話を作りました。
実際「外は危ないから出るな」と言っても子どもは聞かずに外へ出てしまう。
〝お化けが出る〟という恐怖心を与えることで「外に出ない」という行動意欲に働きかけます。
こういうことが成立した瞬間に人は「おもしろい」と思いはじめます。
これを作るのが僕たちの仕事です。
〝伝わる〟ために必要なのは良いコミュニケーション。
良いコミュニケーションの定義
「エゴではなく徹底的に相手を思うこと」
世界を動かす言葉の極意は、ラブレターと同じです。
相手を思うこと。
気持ちに任せて「君のことが好きだ…」という言葉を500回くらい書いたラブレターというのは、受け取り手からすれば「怖い」ってなりますよね。
大切なのは相手に対してどういうことを伝えてあげれば、気持ちが伝わるかということを一生懸命やること。
因みに「メッセージというのはマッサージだ」という人がいて。
うまい表現だと感心したことがあります。
ツボにしてもいいところを突かれると「お」となるのですが、違うところだと「おい、やめてよ」となる。
メッセージというのは的確に相手の望んでいるところに当てていかなくちゃいけないんですね。
考えるプロセス=売れるプロセス
〝考える〟を定義
「考えるとは思い悩むことではなくて、〝この問題はこうすればこのゴールにたどり着けると思います〟というアイディアをつくること」
問題を〝課題〟として捉え、「こうすれば」を〝手法〟にし、そしてゴールを〝目的〟と言い換えると分かり易く見えてきます。
課題と目的を繋ぐ〝手法〟がなければ、それはアイディアにはならないと僕は思っていて。
さらに言えば、この〝考える〟プロセスそのものが〝売れる〟プロセスでもあります。
課題をクリアし、ゴールに向かうこと。
それを見ると人は〝今より幸せな未来〟を想像し、「ぜひやってみたい!」と思うようになります。
つまり「問題→ゴール」というアイディアを作れば、人の心は動くんですね。
では次に「売れる」について考えていきましょう。
世の中では何が売れるのかを考えると、〝良いもの〟が売れていると思いがちですが、そうではなく〝欲しいもの〟が売れています。
これは作り手・売り手・買い手の三つの目線に分けることができます。
作り手目線
「いいものをつくろう」
機能・性能
技術主義
↓
売り手目線
「売れるものをつくろう」
マーケティング
数字・傾向・戦略
↓
買い手目線
「欲しいものをつくろう」
デザイン・ストーリー
人の気持ち・共感
先ほど言ったように〝伝える〟のではなく、〝伝わっている状況〟を作らないといけない。
そうなるとデザインやストーリーなど、人の気持ちと共感することじゃないとダメです。
作り手というのは、技術主義であるものづくりの人たちだからエンジニア───つまり、メーカーです。
売り手はマーケティングの要素が入ってきた広告代理店など。
買い手にアプローチするのが、クリエイター。
クリエイターは買い手目線をずっとやろうとしていました。
ただロジックが今までなかった。
だから、買い手目線の感性でアートやデザインをするわけですが、エンジニアや代理店からは「何やってんだよアイツら」みたいな風に見られ、「数字の方が重要でしょ」と動きを止められてしまっていた。
「いやぁ、数字じゃないんですよ~」と言ったところでロジックがないので伝わらなかったんですね。
今は、人の気持ちに共感がないと〝欲しいもの〟にならない時代です。
広告のロジックが「良いものですよ」っていうのから、相手側の立場になって「良さそうだ」を作り出すことが今後の課題となります。
つまり、〝答えは絶対に相手の中にある〟のです。
飲料水にしろ、化粧品にしろ、内容成分はそこまで大差はありません。
消費者がその商品を買う理由は〝欲しくなる理由〟があるからです。
昔はファンクション(機能)で欲しくなった。
もうそれだけでは売れない。
↓
次に、デザインが良くなると欲しくなった。
でも、それだけでは物足りない。
↓
そして、今欲しくなる理由。
それが、デザイン+ストーリー。
デザイン+ストーリーがないともはや世の中は何もドライブしません。
ファンクション(機能)そのものはデザインで加速し、ストーリーで拡散するというのが僕の持論で。
今は「何でこれ買ったの?」と聞いた時に「カッコイイから」以外の何かストーリーが必要なんですね。
ストーリーの定義
「強い共感×共有したい感情」
僕が最強のストーリーだと思っているものはクリスマスのサンタクロース。
ある時誰かが「この日に子どもたちにプレゼントを贈るといいよ」っていうことを伝説や民話を利用してストーリーを作ったんです。
「一年に一回冬の日にサンタクロースという形で子どもに愛情を届けるなんて素敵!」
このストーリーが強烈に良かったから、ある一部の地域だけの話が世界中に伝番した。
つまり、どこかの誰かが作ったストーリーに共感して、全世界が賛同したんですね。
アメリカという国にもそのような背景があります。
昔、アメリカは〝自由の国〟と呼ばれ、〝アメリカンドリーム〟を謳っていました。
この言葉の真意は、ヨーロッパから移民を促すためのキャンペーンです。
ミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)という有名なF1レーサーがいます。
彼の名の本来の意味はSchumacher→シューメイカー(靴屋)。
当時は、出生によって階級も上がらなければ職業も変わらないというのが一般的でした。
〝シューマッハ〟の名を持つ一族もアメリカに来なければ靴屋でしかなかった。
それを「アメリカに行けば全てを取っ払って新しく一からはじめることができる」という理由で移民を呼び込んだんです。
労働が過酷だったのにも関わらず多くヨーロッパ人がアメリカに来ました。
「アメリカに行けば一攫千金がある」───〝アメリカンドリーム〟というストーリーを打ち出したんです。
ヴァレンタインのチョコレートも、池田勇人内閣による所得倍増計画も、会いに行けるアイドルのAKB48も、全て誰かが作ったストーリーが下敷きにある。
もう一度言います。
世界はストーリーで動いています。
みなさんが何か行動を起こす時、そのきっかけは大抵誰かの作ったストーリーによるものです。
つまり、後ろでストーリーを作っている人がいるのです。
BETTER WORLD
世の中の人が求めているものは何でしょうか?
〝今より幸せな未来 〟
これ絶対的でしょ?
今より悪い未来を思考する人はいませんよね。
「水を買います」ですらちょっと爽やかな未来を想像しています。
つまり、〝いい商品の作り方〟は〝いい未来の作り方〟と同義語です。
では良い未来とは何でしょうか?
それが冒頭の「世界は滞っている」という話で、みんなブレイクスルー
───つまり、イノベーションを待っているんです。
そのためにはヴィジョンが必要となります。
ヴィジョンを実現するのがイノベーションです。
そしてヴィジョンと似た言葉にコンセプトというものがあります。
Visionの定義
共感できる夢を描く言葉
Conceptの定義
Visionに向けて行動したくなる言葉
ヴィジョンを単に〝夢〟と訳す人がいますがそれは間違いです。
ヴィジョンは無謀であってもリアルにイメージできるもの───つまり、人が共感できるものでないといけません。
「オレ、ビックになるわ」
これは夢ではあるが、ヴィジョンではない。
「自分もそれに参加したい」と思わなければヴィジョンにはならないのでもう少し具体的かつリアリティである必要があります。
サントリーのハイボールの成功は非常にヴィジョナリーでした。
ある一枚のヴィジュアル(ヴィジョン)をチームで共有したことがはじまりです。
若い人たちがハイボールで乾杯しているところを写真に撮って「どうすればこうなるのだろう?」と考えました。
10数年前、ハイボールを飲んでいる人は誰もいませんでした。
「女の人が飲むんだったらレモンを入れて、若干ウィスキーの味を消す方がいいんじゃない?」
「重さのあるジョッキよりもキラキラしたグラスを作った方がいんじゃない?」
これらの案は今みなさんが飲んでいるハイボールの世界観ですよね。
それはサントリーが作り出した世界観なんだけど、ハイボールの世界はたった数年前に〝作られたもの〟なんです。
夢は自分で描くものですが、ヴィジョンは周りの人や世界を巻き込みます。
故に、他人が共感し、参加したくなる夢が必要です。
ヴィジョンに向けて、人々の行動を生み出すために必要なのが〝Concept〟です。
つまり、人が動かなければコンセプトではないということです。
ヴィジョンは理想像。
まずこれがないと話にならない。
でもそれだけだと関係者は動くことができない。
People→Vision
この矢印こそがコンセプトそのものです
「ほら、こう考えれば行けるよ」という。
一般の広告に置き換えると、Conceptは〝コピー、ヴィジュアル〟、そしてVisionは〝商品〟ということになります。
Visionは共感できる夢を描く言葉であり、Conceptは行動したくなる言葉です。
人々がヴィジョンに向かうために必要なのがコンセプトです。
言い換えれば〝イノベーションの起きた未来像〟そのものがヴィジョンとなります。
Visionの再定義
Innovationの起きた未来像
Innovationはあなたでも起こせる。
「Fall in Love」という言葉はイノベーションです。
「恋に落ちる」と訳されますが、〝落ちる〟という感覚───恋というものに対して〝落ちる〟という感覚で言葉にした人がいるんです。
それが発明なんですよ。
ある瞬間に「そう!あの感覚Fall!」となったんですよ。
だから世界に広がった。
発明です───そう、イノベーションなんです。
あなたはどの世界のどの分野に、どういうイノベーションを起こしますか?
小西氏の講義にうっとりする塾生たち。
〝言葉の感受性〟に惹かれて───それは〝考えること〟に繋がる。
映像や具体的な事例を挙げながら講義は展開するのだが、あいにくオフレコが多く残念ながら割愛。
───そして塾長である千原徹也氏と。
千原
小西さんの講義を聴いているとコピーライターという仕事がよく分からなくなりました。
前半の部分はコピーライターだからこその思考だと思うんですけど、最後の方では「ホテル(THE THOUSAND KYOTO)作っています」みたいなww
(※小西氏は都市開発の案件でホテルや企画全般のプロデュースも行っている)
小西
あれも結局ヴィジョンを描いて、コンセプトを作っているので、自分の中ではコピーライターの仕事と全く変わらないですね。
千原
でも多分、世の中っていうのは〝ホテルを作るのは建築家〟って、そういう風に思っているじゃないですか。
小西
結局「おもしろい」と思うデザイナーやコピーライターっていうのは枠に捉われていなくて。
秋元康さんとかって一体何者なのか僕たちには分からないじゃないですか?
千原
確かに、最初は作詞家でしたもんね。
小西
でも今は〝ムーブメントをつくる人〟みたいになっている。
だから結構、ここの〝核〟の部分をおもしろく作ることができる人は他の展開をしてもブレない。
千原
そうですね。
だから核をつくるというところが一番大事なんですよね。
思考の長さ
小西
よく言われるのが思考というのは面積なので深く考えることができる人は長さは短くていいし、深くない人は長く考えざるを得ない。
どれくらい考えますか?
千原
あんまり考えていないですw
僕、博報堂にいた時期があったんですね。
「アイディアは最低100個考えろ」って言われるじゃないですか?
で、100案作るんですけど、時間が無い時に10案くらいで会議に出る時があるんですよ。
でもね、ホームランを打てばそこで終わるんですよ。
ヒットを打てば相手の気持ちがどんどん良くなっていく───つまり、機嫌が良くなってくるんで、ヒットも大事。
でも、ホームランを打てばそこで終わるので100個用意する必要がない。
小西
確かに。
千原
だから、「たくさん考える」というのもありますけど、深く考えて「ホームランを一個だけつくる」っていうのもありますよね。
小西
慣れていない時は、「とにかく、たくさん考えろ」ってよく言われる。
僕なんか一日1000案書けと言われたことがあって。
「1000案書けなかったら10万円な」って言われて。
その日600までしか書けなくて、ATMで10万円下ろしてコピー案と一緒に置いたら、そのまま10万円本当に取られたんですよ。それは大人げないんじゃないですかってww
で次の日も600書いて、合計で1200にして10万円返してもらって嬉しかった。
「オレの金やん」って思ったんですけどww
でも、その1200個の中に300くらい、筆跡は確かに自分なんだけど、自分が書いてないと思うものがあるんですよ。
それはめちゃくちゃおもしろかったです。
それがソニーのキャンペーンのためのプレゼンテーションだったんですけど、5案出して、5案とも全て盛り上がったんですね。
だから慣れていない時は、訓練として数を量産するということはあってもいいかなとは思いますね。
千原
そうですね。
僕、博報堂時代あまりにも忙しくて、〝16日間家に帰れない〟ということがありました。
隣のファミマが着工したのと僕がその案件を任されたのが同時くらいだったんですけど、僕が帰るより先にファミマが完成したという。
会場www
千原
その時、倒れてちょっと入院したんですよ。
そうしたら病院にファックスが届いて、見てみたら「アイディアを送れ」と書いてあったww
でもそういう時期があったからこそ、という意味では訓練というのはあると思います。
たくさんやっていると本当に速くなって、一つ二つを深く考えられるようになってくる。
小西
そして光っているものと光っていないものが見分けられるようになってくるんですよ。
それは感覚知なので、たくさん経験しないと分からない。
自転車に乗るのと一緒なんですよ。
一回できるようなになると、つまらない案はサクッと候補から落としていけるようになります。
それは自転車に乗れるようになることと似ていて、一度ピックアップできるようになるとその感覚は自然になる。
その感覚を体感するといいと思います。
言葉をデザイン(定義)し、アート(再構築)する。
言葉を整理することを通して、新たな問題提起を導き出す。
小西氏の講義は、まさにその連続で。
息を飲むほど鮮やかでロジカルな思考展開により、一見〝整理〟に特化したクリエイターであるとミスリードされがちだが、実はその先にある〝問題提起〟を生み出すアーティストとしての能力値の高さに驚かされる(言うまでもなく、デザイン思考も一流なのだが)。
定義からの再構築がいかにクリエイティブな作業であるか。
目の前に提示された方法論に頷くだけでなく、小西氏の手品の種を解き明かすために〝考え続けること〟にもまた高い価値がある。
※当記事の写真は伏見歴堂氏のものを使用しています
《小西 利行》
CEO/Creative Director
POOL inc.代表。クリエイティブ・ディレクション、コピーライティング、WEB&インタラクティブコミュニケーション開発、また、都市開発や施設開発も手がける。主な受賞歴:CLIO 、ニューヨークADC、ONE SHOW、TCC賞、ACC賞など多数。ENGINE 01 文化戦略会議メンバー、2020年ドバイ国際博覧会日本館クリエィティブアドバイザー。
≪塾長:千原徹也≫
デザインオフィス「株式会社れもんらいふ」代表。広告、ファッションブランディング、CDジャケット、装丁、雑誌エディトリアル、WEB、映像など、デザインするジャンルは様々。京都「れもんらいふデザイン塾」の開催、東京応援ロゴ「キストーキョー」デザインなどグラフィックの世界だけでなく活動の幅を広げている。
最近では「勝手にサザンDAY」の発案、運営などデザイン以外のプロジェクトも手掛ける。